June 09, 2006

■工業デザイン 開発ストーリー その7

(前回の続き)

さて、前回では煮詰めてきたデザインや構造でも変更しなければならい場合がある と書きました。

理由の一つにあげたのは"特許"でしたね。

今回の角ハンガーで特許で苦労したところは、下の写真の

丸で囲ったところです。

実際には外からでは解らないのですが、角ハンガーを二つに折り曲げるヒンジの内側の構造部分です。

「こんなところが?」と思う人もいるでしょう。
でも角ハンガーにとっては結構重要な所なんですよ。
各メーカーが色んな構造を考えて特許を出しています。

作業としてセレクトしたデザイン案の大まかな図面化を進めていると書きましが、暫定的ではありますがこの段階でクライアントを通して弁理士の方に調査を依頼します。
調査としては"現在進めているヒンジの構造が他社の特許に触れないかどうか?”です。

調査の結果を待ちます。

結果は・・・

「×」
他の特許に触れる恐れがあるとの判断でした。(>_<)(ガ〜〜ン!!)

その後、今回の調査資料として結構分厚い書類が届きました。
この部分は、この特許に触れます。また、触れる可能性のものなど数十ページに及んだ分厚い資料が。
権利の範囲を示す内容がズラズラと書いてあります。
でも、どうして特許の文章はこうも難しい表現なんでしょうね。
パッと読んだだけでは、サッパリ解りません。
頭がオーバーヒートしそうです。

・・・で、何とか他の方法を考えないと行けないのですが、
今回のケースで考えられるのは、
●一つ目は、全く新しい構造を考え直す。
●二つ目は、特許に限定される内容から、触れる可能性のある部分だけを考え直す。

一つ目は正直、ゼロからやり直すのは時間的にも難しいですよ。

そこで、二つ目の特許に触れる部分だけを変更することしたのですが、
とにかく特許資料をジックリ見て、
ジックリ見て、
ジックリ見て、
しつこいぐらい、ジックリ見て、
特許に触れなさそうなアイデアを考えます。
この部分を違う形状にして・・・
ここは別部品して・・・
・・・・・・・・・・・・
そうやって、どうにか"特許対策用構造案"を絞り出しました。

それを図面化して、再度弁理士の方に問題がないか確認してもらいます。

数週間後・・・

返事は、
「○」(^_^)/でした。
何とかクリアできました。正直ホッとしましたね〜。
この問題だけでもかなり時間がかかりましたから。

そんなこんなで、かなりステップ的には煮詰めてきましたので、次の段階は試作についてです。

それは、次回にて・・・
Posted by musha-design at 17:23:13 | from category: デザインプロセスについて | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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