June 15, 2006

■工業デザイン 開発ストーリー その8

(前回に続く)

さてさて、前回までの話は特許に触れないような特許対策構造の形状にした といったところでしたね。

この段階までくれば基本的なデザインや構造は、ほぼ固まりつつあります。
ただ、最終製品に近い図面にするため、ディテールを煮詰めていくのですが、今回の角ハンガーはプラスチックがメインなので金型で成形できる形状にしなければなりません。
そこら辺を調整していくのですが、パーティングラインや、抜きテーパー、スライドなどなど・・・
結構、頭を悩めますよ〜。
ただ、僕らはデザインをする仕事であって技術者ではないので、"できる限り成形できる形状にしています" というスタンスで図面を書いています。金型図面まで書くのは難しいです。
どうやって、こんな細かいところは成形するの?的なところはよくあるので、その辺は技術の方や成形業者に相談しながらお願いしています。

今回の角ハンガーは12個の部品で作られているので、12枚の図面を作成します。

そして、これが出来上がれば次のステップとしては実物品に近いモデルを作って確認する段階になります。


この試作モデルを作ることでいろんな所を確認します。
・イメージ通りのデザインか
・使い勝手はいいか
・きちんと、動くか(ヒンジの部分とか)
・安全に問題がないか
こういったところは、やはり絵だけでは分からない部分がおおく、手に触れて実際に使える物を作ることで、今まで分からなかったことがいっぱい見えてきたりします。
それに図面を読めない人でも、物があれば評価できるしね。

そこでモデルを作るのですが、通常はモデルを作る専門の業者があって、一つだけ実物に近い物を作ってもらいます。

ただ、今回の角ハンガーのモデル製作については、クライアントから "金型を作って実際の製品を作ってしまいましょう"ということに。
理由としてはいくつかあるのですが、まず角ハンガーをイメージしてみて下さい。
四角いフレームにピンチがいっぱいぶら下がっているでしょう。
今回は36個のピンチがあるのですが、これらを全てモデル業者にお願いしたら恐らく数百万レベルになるのではないでしょうか。
時間もお金もかかってしまう といったところです。

金型で試作できることは結構メリットがありまして、その一つとして量産時に使うプラスチックで確認できることが上げられます。
各部品が思ったようにスムーズに動くのか、全体の強度の面で問題がないのかチックできるし、さらに実際に洗濯物を干してみるなどの使い勝手も評価できますからね。
それに、金型があればいくつでも作れるし、カラーバリエーションの検討できるのもいい点です。

さて、金型を作るにも少し時間がかかるので、その間はつかぬまの休息・・・ 
とはいっても別の仕事をしているんだけどね。

・・・・・数週間後・・・・・

クライアントから試作品が届きました。
ワクワクしながら、箱を開いて手に取りました。
その瞬間・・・・ な、なんだこれは! (T_T)

続きは次回にて。
Posted by musha-design at 22:00:00 | from category: デザインプロセスについて | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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